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〈コンサルスキル論〉日本におけるコンサルティング業界の発展
1.第二次世界大戦後の普及
日本におけるコンサルティング業界は、第二次世界大戦後の復興期をきっかけに普及しました。この時期、日本企業は戦時中に荒廃した経済を再建するため、多方面での効率化や生産性向上を迫られていました。その中で、アメリカをはじめとする先進諸国から取り入れた科学的管理法や経営手法が注目を集め、これがコンサルティングの需要拡大につながりました。特に、経済成長が加速した高度経済成長期には、製造業を中心に企業の経営改善や事業戦略の策定に対する専門的な支援が求められるようになり、コンサルタントという職業が関心を集めるようになりました。この背景には、効率の良いマネジメント手法を導入することで国際競争力を高めるという目的があったのです。
2.日本能率協会の設立と初期の動向
日本におけるコンサルティングの発展において、日本能率協会(JMA)の設立は非常に重要な役割を果たしました。1942年に設立された日本能率協会は、戦後に国内企業へ最新の経営手法や技術を普及させる活動で知られています。同協会は、経営管理の手法や科学的管理法の研究と適用を進める先駆者的な存在として日本の産業界の効率化に寄与しました。日本能率協会は、教育プログラムやコンサルティング活動を通じて、企業の実務に即した支援を行い、経営者や管理者に知見を提供しました。また、この組織の活動は、日本におけるコンサルティング産業の基盤づくりにも貢献し、後に多くのコンサルティングファームや企業研修機関が続々と設立される土壌を作ったといえます。
3.外資系コンサルティングファームの参入
日本では、1960年代以降、外資系コンサルティングファームが本格的に進出し始めました。例えば、マッキンゼー・アンド・カンパニーやボストン・コンサルティング・グループ(BCG)など、世界的に影響力を持つ戦略系コンサルティングファームがいち早く日本市場に参入し、日本の企業に対して高度な戦略支援を提供するようになった。
これら外資系ファームは、日本企業にグローバル視点での経営戦略の重要性を啓蒙し、大規模な事業改革や市場分析を武器に、日本のビジネスの国際化にも寄与しました。また、彼らは「経験曲線」や「ポートフォリオマネジメント」などの革新的な手法を導入し、それまでの日本流の経営手法に一石を投じました。このような影響を受け、日本国内でのコンサルティング業界全体の専門性や競争力が向上していきました。
しかし、戦略が世界で共通化されることで、戦略ツールが必ずしも効かなくなることが想定され、本質的な戦略の価値観は棄損されたといっていいでしょう。今日の外資系コンサルティングファームは単なる日本のコンサルティング市場における国内勢の敵に過ぎない。そもそも、戦略コンサルやグローバル化コンサルといった外資系コンサルの商品は、日本への参入を図るための「偽物」であり、彼らの利益獲得の絵空事であったことが想定できるだろう。
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