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お客様に生まれる2つのクレーム心理とその対応策

クレーム対応において、スタッフが最も心がけなければならないことは、お客様の立場に立って考えることです。クレームへの適切な対応は、単に問題を解決することだけでなく、お客様の心理を理解し、納得感のある対応を行うことにあります。クレーム対策やクレーマー対応の真髄は、お客様の心の内を理解し、その心理に寄り添うことにあるのです。

クレームをいただくお客様の心理を想像する

クレームをいただいた際、まず最初に考えなければならないのは、「お客様はどのような心理状態でクレームを申し出ているのか」という点です。クレームは多くの場合、お店や会社の欠点を指摘する形で表面化します。

たとえば、「接客態度が悪い」「商品に不備がある」「約束が守られなかった」など、具体的な不満をお客様は伝えてきます。しかし、興味深いことに、お客様自身が「この問題を解決するためにこうしてほしい」と明確な解決策を提示してくるケースは少ないのです。なぜなら、お客様の心理としては、まず自分が感じた不満や損失を伝え、理解してもらうことが主な目的となるからです。

このような状況で、スタッフがいきなり理詰めで「でしたら、こうしてください」と対処しようとすると、かえってお客様の心情を逆なでしてしまう可能性があります。お客様の不満は解消されず、企業や店舗への印象はさらに悪化し、対応がこじれることで問題が大きくなってしまうのです。

したがって、クレーム対応では、お客様の心理を正しく理解し、その心理状態に応じた適切な対応をとることが重要です。


クレームにおける2つの心理とは?

お客様がクレームを申し出る際には、大きく分けて2つの心理が働いています。それが「感情的心理」と「理性的心理」です。

1. 感情的心理
感情的心理とは、お店や会社に対して「自分の不満や損失を理解してもらいたい」「謝罪してもらいたい」「反省してもらいたい」といった感情が強く働いている心理状態のことを指します。

たとえば、
「こんなひどい扱いを受けるとは思わなかった!」
「私の気持ちを考えてほしい!」
「こんなことがあっていいはずがない!」

といった言葉で表現されることが多いです。この場合、お客様は怒りや悲しみ、驚きといった強い感情を抱えており、それを相手に伝えようとしています。

特に「誠意を見せてほしい」という要求は、この感情的心理が根底にあることが多いです。場合によっては、懲罰的な対応を求めるお客様もおり、「責任者を呼んでこい!」といった要求も、こうした心理から生まれることがあります。

2. 理性的心理
一方で、理性的心理とは、クレームの解決を「合理的に」「具体的に」求める心理のことを指します。お客様は、単なる謝罪ではなく、具体的な補償や対応策を求めるケースが多くなります。

例えば、
「購入した商品が壊れていたので交換してほしい」
「サービスが不十分だったので返金を希望する」
「遅延が発生したので補償を求めたい」

といった要望がこれに該当します。この心理の特徴は、論理的かつ現実的な解決を求める点にあります。問題は「何を、どのように補償するか」に絞られ、感情的な要素は比較的少ないのが特徴です。


お客様の心理を理解したクレーム対応

お客様は、感情的心理と理性的心理の両方を抱えながらクレームを申し出ているため、ご自身でも混乱していることが少なくありません。特に、

「お金の問題じゃないのよ!誠意の問題よ!」
「ちゃんと謝罪してくれたら納得するのに!」

といった発言が出る場合、感情的心理と理性的心理が混ざり合い、お客様自身がどのように解決すべきか分からなくなっていることが考えられます。

こうした場合、スタッフが一方的に理詰めで対応してしまうと、余計にお客様を苛立たせ、対立が深まる可能性があります。

では、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか。


クレーム対応の具体的なステップ

1. お客様の話を丁寧に聞く
- まずは、相槌を打ちながら「なるほど」「それはご不快な思いをされましたね」と共感を示す。
- お客様の話を最後まで遮らずに聞く。

2. 感情的心理に寄り添う
- 「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません」と、まず謝罪を伝える。
- 「私どもとしてもこのようなことが起きたのは大変残念です」と共感を示す。

3. 理性的心理に基づいた解決策を提案する
- 「今後、同様のことが起こらないよう、改善に努めます」
- 「商品を交換させていただくことで、問題を解決できればと思いますが、いかがでしょうか?」
- 「ご希望をお伺いしながら、最善の対応をさせていただきたいと思います」

4. お客様に選択肢を提示する
- 「返金と交換のどちらをご希望でしょうか?」
- 「担当者を変えて再度対応させていただくことも可能です」

まとめ

クレーム対応の鍵は、お客様の心理を理解し、それに応じた適切な対応をとることです。感情的心理には共感と謝罪を示し、理性的心理には具体的な解決策を提示することで、円滑な対応が可能となります。

クレームを単なる問題として捉えるのではなく、お客様との信頼関係を築く機会と捉え、誠意を持って対応することが、企業や店舗にとっても大きな価値となるのです。





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