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〈AI・DX時代の電話応対〉電話応対力を高める呼吸法と発声トレーニング
電話応対において「声」は、唯一相手に伝わるコミュニケーション手段です。表情もジェスチャーも使えない中で、第一印象を決定づけるのは声のトーン、安定感、明瞭さです。ビジネスの現場では、たった一つの「もしもし」が、信頼や企業イメージを左右することすらあります。
では、その「よい声」は、才能や生まれ持った要素だけで決まるのでしょうか? 実は、正しい呼吸と発声の仕組みを理解し、トレーニングを積むことで、誰でも明るく快活な“電話向きの声”を身につけることができるのです。
声はどのようにして生まれるのか?
① 音の誕生:声帯の振動
声の元となるのは、肺から吐き出される空気です。この空気が喉の奥にある「声帯」を振動させて音を生み出します。しかしこの段階では、ただの「振動音」、いわば「ブー」というノイズに過ぎません。
② 響きの形成:共鳴で“音”が“声”になる
声帯で生まれた音は、口腔・鼻腔・咽頭といった「共鳴腔」を通ることで響きを得て、「声」としての輪郭を持ちます。この共鳴の度合いが、声の厚みや明瞭さを決定づけます。
③ 言葉の形成:発音器官の働き
さらに、舌、唇、歯、あごなどの「調音器官」が、声を言葉へと変換します。この一連のプロセスをコントロールするためには、基礎となる「呼吸法」の習得が欠かせません。
呼吸法の基礎:腹式呼吸をマスターしよう
声の源は、呼吸です。とりわけ電話応対では、「安定した、通る声」が求められます。それを支えるのが腹式呼吸です。呼吸法の種類と特徴
呼吸法 | 特徴 | 向き・不向き |
---|---|---|
肩呼吸 | 肩で上下する浅い呼吸。緊張や運動時に多く見られる。 | 短時間での酸素供給には適するが、発声には不向き |
胸式呼吸 | 胸を上下させる呼吸。日常生活では一般的。 | 呼吸が浅くなりがちで、長時間の発声には不向き |
腹式呼吸 | 横隔膜を使って腹部を膨らませる深い呼吸 | 安定した声、持続力、滑舌の改善にも効果的 |
✅声量の増加(自然に通る声に)
✅長時間話しても疲れにくい
✅緊張による声の震えを抑える
✅集中力が上がり、電話応対時の安定感が増す
実践! 腹式呼吸トレーニング
1. 姿勢を正す
✅背筋を伸ばして立つか、イスに浅く腰掛ける
✅肩の力を抜き、あごは引いて目線はまっすぐ前に
2. 鼻からゆっくり息を吸う
✅お腹が風船のように膨らむのを感じる
✅胸や肩は動かさず、お腹だけが膨らむように意識
3. 口からゆっくり息を吐く
✅吐く息の長さは吸う時の2倍を意識
✅声を出す場合は「はー」と息に声を乗せてみる
4. 継続的な練習
✅1日5分からでもOK。毎日の積み重ねが成果に
声は“印象”をつくる最大の武器
「電話応対がうまい人」は、滑舌が良いだけではありません。落ち着いた声、はきはきしたトーン、適度な間(ま)など、声の“表情”を自在に操る力を持っています。これは、すべて呼吸と発声のコントロールによって培われるスキルです。また、心理学的にも「声の印象」が対人評価に与える影響は非常に大きいことが知られています。特に電話では「声=人格」と捉えられがちであるため、意識的なトレーニングが重要です。
電話応対における“声”の意義とは
声はあなた自身であると同時に、あなたの会社の顔でもあります。声の第一印象で商談の結果が変わることも、クレームが和らぐこともあります。逆に、暗くこもった声で応対すれば、組織のイメージ全体にマイナスの印象を与えかねません。ビジネスにおいて、声は単なる音ではなく、戦略的なコミュニケーションツールです。
腹式呼吸をベースに、あなたの声を磨くことは、企業の信用を守り、チャンスをつかむ第一歩となるでしょう。
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