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〈防災減災社会〉「7つの備え」で命を守る――いま、私たちにできる防災の実践

日本は世界でも有数の「災害大国」として知られています。地震、津波、台風、土砂災害――そのいずれもが私たちの日常に突如として襲いかかる可能性があります。だからこそ、「備え」は特別なことではなく、日常に組み込むべき「生活の知恵」であり、命を守るための投資です。

ここでは、防災の基本とされる「7つの備え」を深掘りしながら、関連する知識や視点も加えて、現代社会に必要な防災の在り方を考えていきます。


1. 自助・共助のバランス感覚を持つ

災害時、まず最初に頼れるのは自分自身(自助)です。行政による救援(公助)は、どうしても発災直後には行き届きません。阪神淡路大震災でも、救助された人の約8割は近隣住民などの「共助」によって救われたとされます。つまり、自助と共助の「連携」が、命を分ける鍵なのです。
 ✅自助:飲料水や食料、医薬品、懐中電灯、ラジオなどの備蓄を整備する。安否確認の手段を確保。
 ✅共助:マンションや町内会など、小さなコミュニティ単位での協力体制づくり。避難所運営のシミュレーションも重要です。


2. 地域の危険を「地図」で可視化する

防災の第一歩は、「自分の住む場所にどんなリスクがあるのか」を知ること。自治体が発行しているハザードマップを確認すれば、以下のようなリスク情報がわかります。
 ✅津波の到達範囲
 ✅河川の氾濫想定区域
 ✅土砂災害の警戒区域
 ✅地震による揺れやすさ

これらの情報をもとに、避難経路や避難所、連絡手段を家族で共有しておくことが大切です。


3. 「耐震」が暮らしを守る:地震に強い家づくり

1981年の「新耐震基準」以降に建てられた建物は、震度6強程度でも倒壊しにくい設計になっています。しかし、それ以前の家屋や、手入れが行き届いていない木造住宅などでは、震災時に倒壊の危険が高まります。
 ✅耐震診断の活用(自治体によっては補助金あり)
 ✅耐震リフォームや「制震・免震構造」への改修
 ✅屋根の軽量化(瓦から金属屋根など)

命を守る最後の砦として、住まいの安全性を見直しましょう。


4. 家具の固定は「家庭内の安全地帯」づくり

地震では、建物そのものよりも、家具の転倒や落下によるけがや死亡事故が多発しています。特に寝室や子ども部屋の安全確保は最優先です。
 ✅家具はL字金具などで壁に固定
 ✅高所に重いものを置かない
 ✅ガラス戸には飛散防止フィルム
 ✅就寝スペースには落下物ゼロ空間を

家具の固定は、命を守ると同時に、避難時の障害物を減らす意味でも極めて重要です。


5. 日常に溶け込む備蓄・避難準備

「非常食セット」は用意していても、賞味期限切れで放置されていませんか?災害はいつ来るかわからないからこそ、ローリングストック(循環備蓄)という考え方が注目されています。
 ✅食料・水は最低3日分、できれば1週間分
 ✅モバイルバッテリー・手回しラジオ
 ✅簡易トイレ、ウェットティッシュ
 ✅常備薬や衛生用品

また、平時に防災バッグを背負って歩いてみることで、重さや不便さを実感し、内容の見直しにもつながります。


6. 家族で「防災会議」を定期開催しよう

家族の安否確認方法、避難先、ペットの対応――平時にこれらを話し合っておくことが、混乱を減らします。
 ✅災害用伝言ダイヤル(171)やSNSの活用方法を確認
 ✅連絡手段がない場合の「集合場所」を設定
 ✅小さい子や高齢者、障がいのある家族への配慮
 ✅家族構成や生活の変化に合わせて内容を年に1回は見直す

「災害時の行動ルール」は、家族の命綱。学校や職場の避難計画とも連携させると効果的です。


7. 地域とのつながりが最大の防御になる

大規模災害では、公助だけではすべての被災者をカバーできません。だからこそ、隣人同士、地域全体で支え合う「地域力」がカギとなります。
 ✅自治体の防災訓練やワークショップに参加
 ✅自主防災組織の立ち上げ・活動参加
 ✅高齢者や障がい者の避難支援体制づくり
 ✅学校・福祉施設などとの連携

平時からの顔の見える関係が、非常時の迅速な行動に直結します。災害は「人と人のつながり」を試す瞬間でもあるのです。


未来への投資としての「備え」



防災は「やって終わり」ではなく、暮らしに組み込むライフスタイルであり、地域社会全体のレジリエンス(回復力)を高める行為です。地震だけでなく、気候変動の影響による水害や大雪など、多様化するリスクに対応するには、個人・家庭・地域・社会の連携がますます求められています。

「備えよ、常に(Be Prepared)」というスカウトの言葉が示す通り、備えることは恐れることではなく、希望を持って生き抜く力を育むことなのです。







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