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〈資産新秩序〉暗号資産とは何かー資産という概念を再考する

1. 資産とは何か?

資産とは、経済的価値を持ち、所有・管理・交換可能なものを指します。具体的には、以下のように分類できます。
- 有形資産: 不動産、現金、貴金属、商品など
- 無形資産: 特許、商標、著作権、ブランド価値など
- 金融資産: 株式、債券、預金、デリバティブなど

2. 暗号資産の位置づけ

暗号資産(Cryptocurrency)は、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル資産であり、国家の中央銀行を介さずに発行・管理されます。資産の定義に照らすと、以下の点が特徴です。
- 無形資産: デジタルデータとして存在
- 価値の保存: 供給量が限定される暗号資産(例:ビットコイン)は価値保存手段となる
- 交換可能性: 法定通貨や商品と交換可能

3. 暗号資産の技術的背景

- ブロックチェーン技術: 分散型台帳技術により、不正改ざんが困難
- 公開鍵暗号方式: 安全な取引のための暗号技術
- マイニング: プルーフ・オブ・ワーク(PoW)やプルーフ・オブ・ステーク(PoS)による取引承認

4. 資産としての根拠

- 市場価値: 取引所で売買されることで価格が形成
- 国や企業の受容: 企業や政府が決済手段や投資対象として認識
- 供給の制限: ビットコインは発行上限(2,100万BTC)があり、希少性が価値を支える

5. 暗号資産の入手方法

- 取引所で購入(例:Binance、Coinbase、国内取引所など)
- マイニング(新たな暗号資産をネットワークの維持に貢献することで得る)
- エアドロップ(プロジェクトが無料で配布)
- ステーキング(PoSベースの暗号資産を保持し報酬を得る)

6. 暗号資産の換金方法

- 取引所を通じて法定通貨に換金
- P2P取引で売却
- デビットカードやATMで使用

7. 関与するアクター

- 個人投資家・トレーダー
- 取引所(中央集権型・分散型)
- マイナー・バリデータ
- 規制当局・政府機関
- DeFi(分散型金融)プロジェクト

8. 国内法的位置づけ(日本)

- 金融庁の管轄: 資金決済法に基づき「暗号資産」として定義
- 取引所の登録制: 金融庁による規制・監督
- 税制: キャピタルゲイン課税(総合課税)

9. 国際法的位置づけ

- 各国で異なる対応(法定通貨としての承認例:エルサルバドル)
- 国際機関(FATF)の規制: マネーロンダリング対策(トラベルルール)
- 欧州MiCA規制: 暗号資産市場の包括的ルール制定

10. 国際政治・金融への影響

- ドル覇権への挑戦(ステーブルコインやCBDCとの競争)
- 制裁回避手段(例:ロシアや北朝鮮による活用)
- 金融包摂(銀行口座を持たない人々へのアクセス手段)

11. 国際競争力への影響

- 金融システムの変革(DeFiが既存金融を脅かす可能性)
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC)との競争
- ブロックチェーン技術開発が競争力を左右

このように、暗号資産は資産の定義に適合しつつ、技術・経済・法律・国際政治の各側面に影響を及ぼす存在です。





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