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〈水資源新秩序〉水ビジネス関連銘柄の主要企業概要

水ビジネスは世界で100兆円規模の巨大市場であり、浄水技術、排水処理、配管・インフラ整備、メンテナンス、資源循環など多岐にわたる分野が含まれます。日本の企業は特に「水処理技術」「膜技術」「インフラ管理」などで世界的に高い競争力を持っています。ここでは、水ビジネスに関連する主要企業について、その概要と強みを紹介します。


1. 水処理・膜技術関連企業

東レ(3402)
概要:
 東レは世界トップクラスの膜技術を持つ企業であり、逆浸透膜(RO膜)、限外ろ過膜(UF膜)などの水処理技術を展開しています。
強み:
 ✅RO膜市場で世界シェアトップクラス
 ✅シンガポールのNEWaterにも採用される高性能膜
 ✅半導体製造や製薬向けの超純水技術

三菱レイヨン(3404)
概要:
 三菱ケミカルグループの一員で、水処理用の中空糸膜技術に強みを持っています。
強み:
 ✅超純水製造の高性能膜
 ✅低エネルギーで水処理可能なUF膜・MF膜
 ✅グローバル市場への積極展開

オルガノ(6368)
概要:
 水処理プラントメーカーで、浄水・排水処理・超純水装置を提供。国内外で水処理システムを展開しています。
強み:
 ✅半導体・製薬業界向けの超純水装置
 ✅産業排水のリサイクル技術
 ✅高度排水処理技術

栗田工業(6370)
概要:
 水処理薬品や水処理装置を手がけ、工場向けの水処理サービスに強みを持つ企業。
強み:
 ✅工業用水のリサイクル技術
 ✅省エネ型水処理プラント
 ✅デジタル技術を活用した水管理システム


2. 水インフラ・プラント関連企業

ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)
概要:
 鉄鋼業界大手であり、水道管・配管材などのインフラ製品を提供。
強み:
 ✅耐震性の高い水道管の供給
 ✅国内外の水道インフラプロジェクトに参画

クボタ(6326)
概要:
 農業機械で有名だが、実は水処理技術でも世界的な企業。水道管、ポンプ、膜処理システムを展開。
強み:
 ✅上下水道設備の総合的な提供
 ✅農業用水・飲料水の水処理技術
 ✅海外市場での積極的な展開

日揮(1963)
概要:
 プラントエンジニアリング大手で、水処理プラントの設計・施工を手がける。
強み:
 ✅大規模な海水淡水化プラントの建設実績
 ✅エネルギー分野と連携した水処理ソリューション

日立造船(7004)
概要:
 船舶建造だけでなく、水処理設備やゴミ焼却発電などの環境事業にも注力。
強み:
 ✅海水淡水化プラントの設計・施工
 ✅廃水処理技術とエネルギー回収技術の融合

三井造船(7003)
概要:
 水処理施設の建設や海洋インフラ事業を展開。
強み:
 ✅海水淡水化技術の開発
 ✅世界各国の水道インフラプロジェクトに参画

千代田化工建設(6366)
概要:
 石油・ガスプラントで知られるが、水処理施設の建設も手がける。
強み:
 ✅LNG冷却技術を活用した水処理技術
 ✅大規模水処理プロジェクトの管理


3. 化学・素材メーカー(膜技術・水処理薬品)

旭化成(3407)
概要:
 化学メーカーでありながら、水処理技術の研究開発にも注力。
強み:
 ✅中空糸膜技術(MF膜・UF膜)
 ✅工業用水・医療用水の処理技術

DIC(4631)
概要:
 印刷インキ・化学メーカーだが、水処理薬品の開発も進めている。
強み:
 ✅水処理用の特殊化学品開発
 ✅膜技術と組み合わせた高度水処理

日本ガイシ(5333)
概要:
 セラミック技術を活かし、環境技術分野で活躍。
強み:
 ✅ろ過技術に優れたセラミック膜を開発
 ✅産業排水のリサイクル技術


4. 水道設備・メンテナンス関連企業

荏原実業(6328)
概要:
 水処理設備の運転管理やメンテナンスを手がける。
強み:
 ✅水道施設の維持管理技術
 ✅省エネ型ポンプシステム

ササクラ(6303)
概要:
 造水装置(船舶用淡水化装置)を開発し、海水淡水化技術で評価が高い。
強み:
 ✅海水淡水化装置の開発・製造
 ✅船舶向け淡水供給技術

野村総合研究所(4307)
概要:
 水ビジネスのコンサルティングや市場分析を行う。
強み:
 ✅スマート水道システムの開発支援
 ✅水道事業の経営コンサルティング


5. まとめ

日本の水ビジネス関連企業は、
 ✅ 膜技術(水処理技術) → 東レ、三菱レイヨン、オルガノ
 ✅ 水インフラ(水道管・配管) → クボタ、ジェイ エフ イー
 ✅ 水処理プラント(設計・建設) → 日揮、日立造船、三井造船
 ✅ 水メンテナンス(管理・運営) → 栗田工業、荏原実業
 ✅ 水関連素材(薬品・化学品) → 旭化成、DIC、日本ガイシ

と、それぞれ得意分野を持っています。今後、これらの企業が「技術力×マネジメント力」で世界市場をどう開拓していくかが注目されます。




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