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感情的なクレーマーに対するファーストコンタクト
お客様が感情的になってクレームを持ち込まれることは、よくあることでしょう。一般的に「悪質クレーマー」といわれるお客様も、そもそも感情的になっているだけの普通のお客様であることがあります。悪質クレーマーといっても、本質的に「悪質」な場合は少なく、不満をきっかけに、難しいお客様に変容してしまうということなのでしょう。一時的に悪質クレーマーになっただけであるなら、いつの日にか普通のお客様になる可能性があります。どのようなファーストコンタクトをとれば、温和なクレーム対応に収め、お客様の満足度を回復できるのでしょうか?
そもそも、「誠意を見せろ」「責任者を出せ」「お前ではだめだ!」など、感情的になっているお客様に対しては、最初から理性的な対応はできません。まずは落ち着いていただく必要があります。感情的なお客様に対するファーストコンタクトは「緩和」の一事につきます。
カウンセリングや心理療法では「目標や問題を解決したり、意図した方向に誘導するようなカウンセリング」と、「誘導せず、患者のそのままを受け入れていくカウンセリング」があります。
「患者の症状や問題行動をコントロールして改善しようとはしない」カウンセリングは、患者に好意的な態度を示して、患者のことを全面的に受け入れます。そうすることで、やがて患者は患者自身のことを肯定して、自己意識を正しい方向に自らコントロールするようになるということを目指しています。
感情的なお客様のクレーム対応においても、このカウンセリング方法がたいへん役に立ちます。
お客様を「患者」扱いするので、あまり大きな声ではいえませんが、ある意味で、感情的になっているお客様は店や会社の製品やサービスによって裏切られ、抑圧された精神状況にあるといっていいでしょう。
「すごく気に入って買った服なのに、帰宅してみたら、裏地にシミがあった」
これはお客様にしてみれば、期待を大きく裏切ることです。精神的に攻撃されている状態であるといえます。
このような精神状態にあるお客様に対して、「なぜ、それくらいのことで怒るのか?」とスタッフだったら思うかもしれません。しかし、お客様の立場に立てば、まったく違う結論になるでしょう。
精神的に抑圧された状態のお客様をまずは、そのままの姿で好意的に受け入れ、どんなにひどいことを言われても、それは「お客様がひどい扱いを受けているから、しょうがないのだ」と考えるようにします。
そして、お客様が自ら感情をコントロールできるようになるまで待つようにしましょう。そうすれば、きっと、問題解決に向けた合理的な交渉ができるようになるからです。
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