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〈企画書作成の肝〉企画書の原点:よい企画は、よい「着想」から生まれる――発想法を学び、創造性を育て、実践力を磨く

ビジネスの現場で、「いい企画を考えてほしい」と求められたとき、どこから手をつければよいのか悩むことはないでしょうか? 企画書とは、単なる文書ではなく、「考え抜かれた構想を、他者に伝え、共感と実行を引き出すための設計図」です。

そして、その起点となるのが「着想」、すなわち「アイデアの種」です。この記事では、企画の着想をどのように得るのか、創造的思考法の理論と実践テクニック、そして現代の企画発想に必要な視点を掘り下げて解説します。


1. 着想とは何か:問題意識の出発点

着想とは、「何か気になること」「もっとこうしたらよいのでは」「こういうものがあったら」という、まだ形になっていないアイデアの源泉です。

着想のポイントは、次の3つに集約されます:
 ✅ 問題意識の発見:なぜ今このテーマが必要なのか
 ✅ 既存の枠組みからの逸脱:常識を再検討する視点
 ✅ 共感と価値の種:誰にどんな価値をもたらすのか

着想を得るためには、単に情報を集めるだけでなく、「自分の問いを持つこと」が重要です。「これは何のために?」「もっとこうならないか?」と日常の中で立ち止まり、自問自答する癖が、着想力を鍛えます。


2. 着想を得る発想法:創造的思考の道具箱

ブレインストーミング(Brainstorming)
複数人でアイデアを出し合う代表的手法。ポイントは以下の通り。「とにかく出す」ことを優先し、批判せず受け止める場が、自由な発想を引き出します。
 ✅判断・批判を保留する
 ✅量を重視する
 ✅奇抜さを歓迎する
 ✅アイデアを組み合わせる

マインドマップ(Mind Mapping)
1つのキーワードを中心に、連想を広げていく図解思考法。紙とペン、あるいはデジタルツールを使って、思考の流れを視覚化することで、「関連性」や「見落とし」に気づきやすくなります。

SCAMPER法
既存の製品・サービスをもとに、以下の観点で改変するアイデア発想法。
 ✅Substitute(代える)
 ✅Combine(組み合わせる)
 ✅Adapt(応用する)
 ✅Modify(修正する)
 ✅Put to other use(他の用途に使う)
 ✅Eliminate(削除する)
 ✅Reverse(逆にする)

 💡例:自動販売機 → 小型・移動式・屋外対応 → 災害時対応型「備蓄自販機」

KJ法(川喜田二郎の発想法)
バラバラの情報・意見をカード化し、グルーピングと再構成を行う手法。情報の海から新しい「物語」を発見し、企画の骨格を作るのに有効です。

視点移動法(Perspective Shift)
自分以外の立場に立って考えることで、見落としていた可能性が浮かび上がります。
 ✅使う人の立場から(ユーザー視点)
 ✅異業種だったら(他業界視点)
 ✅未来の技術で解決したら(技術革新視点)
 ✅子どもだったら/高齢者だったら(年齢・生活視点)




3. 情報収集と思考の行き来:インプットとアウトプットの往復運動

着想を得るためには、インプット(情報収集)とアウトプット(発想・整理)を交互に繰り返す必要があります。
 ✅市場調査・競合分析・生活者観察
 ✅書籍・論文・ドキュメンタリーの活用
 ✅SNS、レビューサイト、検索トレンド
 ✅海外事例や異文化との比較

このとき大切なのは、「情報を集めたあと、問い直す」ことです。
「これは自分の課題にどう関係するのか?」という視点がなければ、情報の羅列で終わってしまいます。


4. 発想と論理のバランス:アイデアを企画に昇華させる

着想を得るだけでは、企画にはなりません。重要なのは、発想を構造的に整理し、根拠をもって説明できる形に変換することです。その際には、以下のような構成が有効です。
 ✅背景・課題認識:なぜこの企画が必要か
 ✅着想(アイデア):どんな提案か
 ✅狙いとターゲット:誰にどんな価値を与えるか
 ✅方法と手段:どう実現するか
 ✅成果の見込み:どんな変化が期待できるか

このような構造を意識することで、「発想→戦略→計画」へと企画を昇華できます。


5. 現代に求められる発想力とは?:社会性と倫理、そして持続性

昨今、SDGsやESG経営、多様性と包摂、生成AIの活用など、企画に求められる視野が格段に広がっています。
 ✅単に利益を出すだけでなく、社会課題にどう向き合うか
 ✅マイノリティや未来世代への影響をどう考えるか
 ✅テクノロジーを使って人間中心の価値をどう作るか

こうした問いが、現代の企画においてますます重要になっています。
だからこそ、着想の時点から「社会的意義」や「倫理性」を含んだ発想が求められています。


まとめ:企画の出発点に立つために


 ✅着想は、問いから始まる
 ✅発想法は道具であり、問いに応えるために使う
 ✅情報と創造のバランスが企画力を磨く
 ✅今の時代に即した視点を持ち込むことで、共感される企画になる

企画とは、世界をより良くするための「知的挑戦」です。だからこそ、あなたの着想が、新しい社会の可能性を拓く第一歩になるのです。






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