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〈防災減災社会〉防災マップ(ハザードマップ):命を守る「見える備え」
災害が発生した瞬間、私たちは何を基準に、どこに避難すべきかを判断するでしょうか?その答えの一つが、「防災マップ(ハザードマップ)」です。これは、私たちの住む地域でどのような自然災害が起こり得るのか、そしてその被害の想定や避難行動に必要な情報を地図のかたちで「見える化」した、命を守るための大切なツールです。
1.防災マップとは何か?
防災マップとは、地震、津波、洪水、土砂災害、火山噴火など、地域ごとに起こりうる自然災害のリスクを視覚的に示した地図です。そこには以下のような情報が含まれます。✅地震による揺れの強さ(震度)の分布予想
✅津波浸水想定区域と避難ルート
✅洪水による浸水の深さや範囲
✅土砂災害の警戒区域
✅避難所や一時避難場所の位置
✅高齢者等の避難支援が必要な地域の特定
✅医療機関、消防署、給水拠点などの支援施設
一部の自治体では、ペット同行避難可否や外国人向けの多言語対応、要配慮者支援マークなども記載されています。
2.防災マップを読む意味とは?
ただ「地図を見る」だけでは防災にはなりません。防災マップを活用することで、私たちは以下のような具体的な判断力を身につけることができます。✅自宅や職場が災害リスク地域にあるかどうかを把握する
✅避難すべき方向や避けるべきルートを事前に確認する
✅安全な避難所がどこにあり、どれだけ時間がかかるのかを想定する
✅通勤・通学ルートが災害時に使えるかどうか再検討する
✅雨の降り方や地形によって、どのタイミングで避難判断すべきかを考える
このような事前の「脳内シミュレーション」が、生死を分ける判断に繋がることは、近年の大災害でも数多くの証言から明らかになっています。
3.どこで入手できるのか?
防災マップは、各市区町村の役所、公民館、図書館などで無料配布されています。また、ほとんどの自治体では、公式ホームページ上で最新の防災マップをPDF形式やインタラクティブ地図として提供しています。国土交通省の「重ねるハザードマップ」や、都道府県の危機管理サイトなども参考になります。
✅重ねるハザードマップ(国土交通省)
✅各自治体の防災情報ポータルサイト(例:東京都防災)
スマートフォン向けの防災アプリでも、位置情報に応じて自動でハザード情報を表示するものもあり、外出先でも迅速な判断が可能です。
4.家族で一緒に「避難会議」を
防災マップは、家族や地域との防災会議のきっかけにもなります。地図を囲んで、✅「どのルートで逃げる?」
✅「高齢の家族はどうする?」
✅「子どもが学校にいるときに地震が来たら?」
✅「夜間・雨天時に避難できる準備はある?」
といった具体的な想定をもとに、家族で話し合う時間を持つことで、「災害に強い家庭力」が育まれていきます。
5.知っている人だけが助かる社会ではなく、知識を「広げる」ことが防災
防災マップを「持っている」だけでは不十分です。それを読み、理解し、周囲に伝えることこそが、本当の意味での防災行動です。高齢者や子ども、外国人、障がいのある方にもわかりやすく情報が共有されることで、社会全体の防災力は飛躍的に高まります。防災マップは、紙や画面にある「地図」ではなく、「命の設計図」です。次の災害が来る前に、一度広げてみませんか?
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